フランスサッカー教育から学ぶ、指導者や監督が身に付けたい4つの考え方

フランスでは指導者や監督育成のためにもたくさんの仕組みや資格を用意しています。

例えば資格で言えば、

◆ハイレベルのプロクラブトップチームを率いるための「BEPF」(プロフットボール監督国家認定資格)

◆ハイレベルの育成センター指導者になるための「BEFF」(フットボール育成指導監督国家認定資格)

などなどトップクラスの視覚から、もっと難易度の低いものまで様々用意されていますが、当然ながら資格を獲得するための学習方法やプログラムも異なります。

しかしながら2010年からDTN最高責任者に就任したブラカール氏によれば、良い指導者や監督になるための根本の部分は実は大きく変わらないと言います。

今回はブラカール氏の談から、良い指導者、監督になるための4つのトピックを考えていきましょう。

1 プレー知識とプレー分析力

soccer-leaders-idea-1

サッカーに触れる指導者であれば欠かせないプレーへの観点。

どの選手がどのようにプレーするのかというプレー知識と分析力があれば、選手に適切なトレーニングを提供することの難易度は下がるでしょう。

「このトレーニングで選手たちの動きはどうか」

「あのパスは足元へ出すべきか、前方へ出すべきか」

などなど些細なシーンにもしっかりと気を配って体系的に分析することも必要です。

一人一人の属性に配慮し、プレー知識を理論化しながら磨き上げていくことが求められます。

2 ペタゴジック(教育学的)なセンス

率いている選手たちに対し、どうメッセージを伝達できるかというスキルのことをさします。

コミュニケーション能力と言い換えても差し支えないかもしれません。

意識したいのは言葉だけで命令するだけでは、その時の動きは誘発できても選手にとって本当の理解にはなっていない可能性があるということ。

会話技法の上手下手ではなく、意思疎通が適切に取れるかということはとても大事なポイントです。

当然ながら監督の命令に対して選手が反応する理由は様々で、忠誠心や義務感、リスペクトなどなど様々。

そのため選手1人1人の心を見分け、指導者、監督として自分のメッセージを選手たちに伝達し、実行してもらう最良の方法は何かを常に模索しなくてはなりません。

どんな手法を活用すれば選手たちに伝わり、理解し、動き出し、力を発揮してくれるのか。

教育学や心理学にも通じる知識や洞察力が必要なため、このスキルはとても重要なものになるのです。

3 クリマ(環境、空気、雰囲気)

soccer-leaders-idea-2

「クリマ」という言葉は日本ではあまり聞き馴染みのない言葉ですよね。

「監督は選手との間にどのようなクリマを創り出せているか?」という文脈で活用します。

しっかりとした信頼関係を築けるかどうか、それにはどうしたらいいのか、ここの選手をどのように扱いながらチームとしていい雰囲気を醸成できるか、などなど先ほどのペタゴジックなセンスをさらにチームに活かすための概念ですね。

これは試合や練習のみならず、シーズンを通して求められる課題でもあり、1つのグループを率いる上で欠かせないスキルです。

このスキルが不足してしまうと、メンバーを掌握仕切れなくなってしまい、士気の低下やチームワークの乱れはもちろん、信頼関係が崩れてしまう可能性も…

洞察力を働かせ、メンバーに対して適切なコミュニケーションを発揮し、良いクリマを醸成させ続けられるかは非常に大切な観点です。

4 コンポルトモン(態度、行動)

これはそのままの意味で指導者、監督として自身がどのような態度をとるかを意味します。

自分がどのような態度を見せ、選手にどのような態度をとらせていくか、チームの規則を保つ上でも大切なポイントです。

有名な話ですが、フランス代表監督だったローランブラン監督は「遅刻厳禁」というルールを設定しました。ユニークだったのは遅刻をした選手に対して罰金のみならず、全員の前で難しい歌を歌わせたこと。

ある選手が遅刻した時にやはり難しい歌を歌わされましたが、その後その選手は監督に対し絶対の信頼をおいたんだとか。

少し変わった事例ではありますが、選手に対して適切にマネジメントした例と言えます。

監督や指導者の人となりはマネジメントにとって極めて大きく影響してきます。人となりに加え、前述したようなハイレベルで人間科学的な要素も取り入れることが大切です。

まとめ

今回は良い指導者、監督に求められる4つのポイントを考えました。

理論的に分析し、どう伝えるかを考え、長期的にいい関係を築ける関係を醸成し、自身の態度にも目を向けること。

これはサッカーのみならずプライベートシーンや仕事であっても同じことが言えるかもしれませんね。

サッカー教育に携わる方以外にも、わずかでも参考になれば幸いです。

参考文献

結城麻里(2014)『フランスの育成はなぜ欧州各国にコピーされるのか』東邦出版.

一覧へ戻る